大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和39年(う)140号 判決 1964年5月28日

主文

本件控訴を棄却する。

理由

所論は、被告人の業務は原判示の通り株式会社十六銀行白鳥支店の預金の受入、払出に関するものであるから、如何なる意味においても経済統制に関聯のない業務であり、従つて本件に経済関係罰則の整備に関する法(以下整備法と略称)第二条を適用した原判決は、同法の解釈を誤り、ひいては、その適用を誤つた違法があるというのである。

然しながら、普通銀行の貸付業務は本件当時廃止前の金融緊急措置令第六条、同施行規則第一三条第二項、昭和二二年三月一日大蔵省告示第三七号金融機関資金融通準則に基づいて行われていたのであるから、改正前の整備法第二条の「経済の統制を目的とする法令により」行う「統制に関する業務」であり(昭和三一年二月九日最高裁判所判決、判例集第一〇巻第二号二五二頁)同条の「その職務」とは、本来の統制的性質をもつ事務に局限すべきではなく、本来の業務を行うために必要な関係にある事務をも含むものである(昭和三〇年五月一〇日最高裁判所判決、判例集第九巻第六号、九七三頁)。

ところで「普通銀行における預金の受入、払出に関する業務は、その貸付の業務と密接不可分の関係にあり、従つて本来の業務を行うために必要な関係にある事務と解すべきである」から原判示事実について整備法第二条を適用した原判決は正当であつて、所論のような法令の解釈、適用の誤はなく、論旨は採用できない。<以下略>(裁判長判事小林登 判事西川力一 斎藤寿)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例